地質と土質の違い:タモさんはどっち?

今回は、これから大学の学科選びをする高校生の皆さんに向けて少しお話をしてみようと思います。


例えば皆が「地球の歴史を勉強したいなぁ」「地震ってどうして起こるんだろう」「土のことを勉強してみたいな」「足元の地盤を調査する仕事につきたいな」と考えたとします。


実は、ここで重要なのは学部選び。皆さんがイメージする土の勉強には「地質」と「土質」の2種類があります。そしてなんと、「地質」を学びたいなら理学部、「土質」を学びたいなら工学部に行く必要があるのです。



似た内容なのにちがう学部?!そもそも地質と土質の違いわからんし!…コレが、土に興味を持った人がまず困ることあるあるです(笑)


ということで今回は「地質」と「土質」の違いについて、できるだけわかりやすく説明してみよ~!




まず「地質」というのは、地球の成り立ちや火山活動など「地球の歴史」から、現在の地球の状態を解き明かす学問です。人気NHK番組「ブラタモリ」のタモリさんのように実際に歩いて断層の状態を見たり石を見分けたりしながら、その土地がどのようにできたのか、大昔はどんな場所だったのかを考えたりするのが地質学。「地球の歴史」という程ですから、スケールが大きいのが特徴です。地下深くのマントルから始まり皆さんの足元何千m下の状態までを考えます。このような地質学を勉強したり、専門にしたりするには理学部に行く必要があります。


一方「土質」というのは文字通り「土の性質」を専門とした土に特化した領域です。例えば皆さん泥だんごを作ったことはありますか?誰がイチバン硬くてツルピカな泥だんごを作れるか友達と競い合ったこと、ありますよね笑?…実はこれ、土質力学です。どのような土にどのくらい水を混ぜれば強い泥だんごになるか。地震や地すべり、液状化は、なぜ起こるのか。こういった土が関与する現象について、実験や数式を用いて表現しその原因を明らかにしたり、計算で未来を予測し工事に活かしたりするのが土質。土質を専門にするためには、物理や数学が必要なので工学部に行く必要があります。




地球の性質を知りたいなら「地質」、土の性質を知りたいなら「土質」です。地質の勉強をするのに必要なのは地球の歴史や自然科学への興味関心と知識であり、土質の勉強をするのに必要なのは土への興味関心と物理や数学の基礎知識となってくるのです。




…でもでも、皆さん知っていますか?土というのは、地球の地下深くから生まれた岩石が、地球の表面で雨や風にさらされて、細かくなったもの。土だってもとは岩だったし、地球の深くから生まれたものなんです。本当は、地質を知らなければ、土質を語ることはできないはずです。


だけど日本の学問形態では、それぞれを学ぶには理学部工学部に分かれてしまっていて、どちらも一緒に勉強するのは至難の業状態。専門家の方々や実際に働いている方々にお会いしても「自分は地質の人間なので土質のことはちょっと…」「土質畑だから地質のことはあんまり」という声をよく耳にします。


外国では地質と土質の境界がもう少し薄く、学科は違えど同じ学部で学べたりという話も聞いたことがあります。災害や防災・減災への関心も高まる今日この頃、それらの学問の壁がもう少し薄くなっていけば、日本でも地震などの災害に対する視点がより包括的なものとなり、もう一段階成熟した学問領域となれるのでは…なんて思ったりします。




という、ちょっとしたボヤきで今回は締めたいと思います(笑)ちなみに、この記事には後で図を描いて挿入する予定です!すでにここまで読んでくれた方、文字ばっかりなのにありがとう!(笑)


これからはブログの趣向をちょびっと変えて、誰にでもわかる地質・土質のお話をお伝えしていければと思います。理系文系関係なく、誰でも土や土質力学がもう少し身近に感じられるようなお話ができるよう頑張ってみようと思うので、是非楽しみにしててほしいな!


ではではまた次回^^

地盤ガールぴい お仕事日記

地質・土質に関する超そもそもの話。 地球と土を専門にする理系女子が、地質調査業を広めるためにはじめた 誰にでもわかる面白学術話✌ (スポンサー募集中です是非…!)

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